異訳「有りそうで無さそうな、そんな物語」

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Lyrical-Deli [詩的廃屋]さんで公開されている『茜街奇譚』を読み終えました。
思い起こせば一年以上前ですよ、初回プレイは。
最後まで読む前に何故かデータを丸ごと消してしまったという過去があります。

実はProject Lipsさんの所のレビューを見て存在を思い出しました。
……その辺りは、作者さんごめんなさい(土下座)


読み終えた感想としては、文・背景・音の使い方を含め、とても綺麗です。
昨今の同人ゲー(※1)に多く見られる「同人的ネタ(※2)」を作中で挙げることも有りませんし、誰にでもオススメしたい一品(=逸品)です。

っと、順番が前後してしまいましたが、ジャンルは伝奇小説です。

タイトルにある通り、奇譚(世にも珍しく面白い物語・言い伝え)ということです。
でも、剣戟だとか破魔札での活劇!――があったりはしません。
比較的静かに、淡々と進行していきます。それなのに物語を楽しめる……。
これはもう、活字中毒症を誘発するような洗練された文章ならでは、です。

……念のために言っておきますが、これは褒め言葉ですよ。
こんな綺麗な文でお話を書きたいと思わされるんです。
何度か読み返して、(物書きとしての)勉強をするのもいいかもしれません。

ただ一つ、難を挙げるとしたら、
一番初めのやりとり(+α)を読み返せないことでしょうか。
ほんのちょっぴり、勿体無いなと思います。

それから、技術面(インターフェース)の話ですが……。
いいですねー、視点替え等の時にちゃんとアイキャッチを入るところとか。
背景の扱い方(例:枠を設けてパノラマ調に見せる)もスタイリッシュ。

ルールを作らないでなぁなぁにしちゃう作者さんってのが、やっぱりいるんですよ。
こういう小さな所への配慮をコツコツ積み重ねていくと、「あ、いいねっ、コレ!」と言ってもらえる物になっていくものだと思います。
だから、見えない努力は大事だと、制作側の立場にいると常々感じるんです。

さてさて、内容に関してはあえて触れずにおきますので、どんな話なのか等々が気になった方は是非お読みくださいませ。
……読むならこういうノベルゲーをもっと読みたいものです。

——
[補足]

※1 「同人ゲー」
無償・有償問わず個人制作のゲーム、という意味で使っています。
まぁ、元は同人活動でも現在企業になっている所もありますから、
一概に「個人製作の」とすることはできないのですけれど……。

※2 「同人的ネタ」
勘違いされて使われている「BL、やおい、性的故の年齢制限のあるもの」の話という意味ではありません。
最近話題のアニメであるとか、人気の同人ゲーの話のことです。
知っている人にとっては面白いですが、知らない人から見れば「何それ?」となります。
なので、何らかの意図が無い場合は組み込まない方がいいと私は思います。


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