自身も昨年11月からライターとして利用を始めた『Writone(ライトーン)』。朗読しやすいよう手を入れながらなので私の投稿数は少数ですが、すでにいくつか音声化していただけて、自分の作品を〝聴く〟という初めての体験に興奮しています。
近年、小説を気軽に公開できる場が増えたこともあり、書き手も作品も増え――陽の目を見ずに埋もれていく作品、それが原因で書くのをやめてしまう人も同じく増えているのが現状です。
そこへ1つの光を差したのが、小説家(ライター)と声優(アクター)をつないでVoiceBook(ボイスブック)として配信できる、この『Writone』というサービスです。
小説を「読む」から「聴く」へ
私の話で恐縮ですが、小説を書いているくせに小説が読めません。長編だけかと思ったら最近は短編作品でも手が出せなくなっていて、インプットできるのは30分前後の映像作品ばかり。
そんな私でもどんどん小説を〝聴け〟ちゃう!
やすっぽい推し文句ですが、これが正直な気持ちです。朗読ソフトなるものもありますが、間の取り方、こぶしを利かせた言い回しは苦手とするところでしょう。
さて、このボイスブック。アクターさんによっては、ただ朗読するだけにとどまりません。男声・女声をはじめ、少年・青年・中年などなど、セリフを演じ分けてくれることもあります。演技の練習はもちろん、声質に幅を持たせるケンサンの場としても期待されているようです。
演じ分け以外にも、BGM(バックグラウンドミュージック)やSE(サウンドエフェクト)をミックスして、オーディオドラマ化していらっしゃる方もいるので、ぜひ聴きまわってみてください。踏み入ることのなかった世界の一端に触れた私は、驚いたり感心させられてばかりです。
まずは聴いてみよう!
WritoneがTwitterで紹介している「おすすめボイスブック」の中から、2作をチョイス。こちらのツイート上で聴けるのは冒頭1分前後だけなので、続きはWritoneサイトもしくはアプリにて。
それでは1つめ。
ライトーンおすすめボイスブック
— ライトーン(Writone)@公式 ボイスブックを聴ける、作れる。 (@Writone1) 2019年1月9日
タイトル「うちの兄は魔法使い」
作家:チャンドラ さん @tyandora631
声優:りっちゃん さん
▼ボイスブックの続きはこちらからhttps://t.co/oFHW0XZTjO#Writone #ライトーン pic.twitter.com/4jD5rEqcoM
続いて2つめ。
ライトーンおすすめボイスブック
— ライトーン(Writone)@公式 ボイスブックを聴ける、作れる。 (@Writone1) 2019年1月7日
タイトル「ショートショート集 / 心の声」
作家:じゅんぺい さん
声優:はったいこ さん @hattai_co
▼ボイスブックの続きはこちらからhttps://t.co/ByQyBqUpJO#Writone #ライトーン pic.twitter.com/ZWPZuHg249
どうでしょう。「読む」より「聴く」ほうが、もっと気軽に小説を楽しめそうな気がしませんか?
手前みそですが、音声化された拙作からも2作リンクを置いておくので、ご興味わきましたらぜひ。
『拾い魔/寿命喰い』声優:ようじろう
ようじろう さんは、渋めの低音男声。作品を文字で読むよりホラー感が出ていて、なかなかゾッとする作品に仕上がってます。
『手のひら短編集/私のステキな夜のとも』声優:りっちゃん
りっちゃん さんは、高すぎも低すぎもしない聴きやすい女声。冒頭のセリフからググッと耳を惹きつけてくれる作品にしてくださいました。
利用者の用途に合わせた3つのモード
Writoneを構成するのは、ライター・アクター・リスナーに分けられた3つのモードです。
小説を投稿する「ライターモード」
小説を音声化する「アクターモード」
そして、
音声化作品を聴く「リスナーモード」
「小説」と書きましたが、実際は「詩」や「エッセイ」もありますよ。
デザインを担当したSeilaさんは、UI(ユーザーインターフェイス)作り初挑戦だったそうです。道は違えど、一緒に「初めて」を歩いているようで、いちユーザとして親近感が湧きます。
実際に利用してみなければ分からないこともあるのに、まずはゼロからイチを作ってみないことにはどうにもいきませんから、苦労の連続だったのでは。
【未経験からデザイナー】Writone|ライトーンで初めてのUIデザイン。|Seila|note(ノート)
手探りながらも、早い段階から3つのモードで構成する方針は固まっていたようです。背景色をつける、バナーやカテゴリ表示を盛り込む、ボタンの数を減らしてシンプルにするなど、視覚要素も試行錯誤あっての現UIなのですね。
機能追加や改善は随時すすんでいて、段々と使い心地がよくなっているのも好感が持てます。表紙画像の設定に対応したことは賛否様々に意見が出ているようですが、「投げ銭」機能の導入までが思った以上に早くて、次は何を企画・導入・改善されていくのか目が離せません。
まだまだ成長中!
利用しているわりにWritoneの遍歴がさっぱりだったので、改めて調べてみました。運営会社Lyact(リアクト)のサイトでも一覧のカタチでまとめられてはいなかったので、合っているか少し不安ですが……。
2018/06/27 小説家の事前登録開始
https://www.lyact.com/media
2018/07/05 声優の事前登録開始
2018/08/31 「ライターモード」β公開
(小説家200名超え。小説も600冊以上)
2018/10/02 「リスナーモード」公開、web版を正式リリース
(ユーザ数500名超え)
2019/01/24 iOSアプリ正式リリース
リリースされては消えていく投稿サイトが少なくはない昨今、Writoneほど急成長した投稿プラットホームは珍しいのでは?
2019年2月11日現在、正式リリースに至ったiOSアプリ版にはライターモード未搭載といった粗もありますが、それを置いても、です。
ボイスブック1000作品、小説900冊を突破!(2019/01/17)
https://twitter.com/Writone1/status/1085884939650756609
https://twitter.com/Writone1/status/1085885987547275264
ユーザー数は2万人、音声化された小説も1200冊を突破(2019/01/31)
https://twitter.com/Writone1/status/1091118012470419456
web版にライターモードが搭載されたのは昨年8月。「小説家になろう」と「カクヨム」からの作品取り込み(検索除外や非公開作は除く)ができることもあってか、爆発的に作品が増えたようです。
実は、ライターにも成長の余地がある。
11月から利用を始めた私は、少し出遅れたくらいでしょうか。持ち作自体は二桁あるのに、いまだに一桁しか掲載できていませんが。
音読することを前提に書かれた小説は、そう多くないと思います。読み流したり、正確に読まれなくてもいい部分というものは、どんな作品にも1つや2つあるものですから。
ライターが、アクター方のためにできることはたくさんあります。
ライターが意図した「読み方」をしてもらえるよう、アクターが「読み方」で悩まないよう。ルビをなるべく振るだとか、そもそも漢字をひらいてみるだとか、カッコやダッシュでくくる訳注のような書き方を省くだとか、セリフには発言者を添える(俗にいう「台本書き」にする)だとか。
――まぁ、とにかくイロイロですね。
音声化される作品にもだいぶ差異が出てきているようで、理想として掲げた「複数の声から好きなものを選んで聴く」をできない小説は、まだまだ多いのが現状です。
声優養成学校の教材・錬成の場としても使われることが決まっているので、未音声化小説のボイスブック化は進むでしょうが、避けて通れない課題になるのではないかなと。
声優志望でなくても気軽に音声化OKなので、「ボイスブック化に初挑戦コンテスト」なんて企画があったら面白そうですね。
今後に期待する理由
『ポプテピピック』というアニメをご存じでしょうか? 原作が4コマ漫画ということもあってか、ものによっては1分もないショートショートを詰め合わせた作品です。
30分枠を半分に区切り、「再放送」と称して、別の声優が演じる同じ内容のものを連続して放送するという、かなり変わった作りをしています。演技の幅や声優の可能性を広げる面白い試みだと、一時期 話題になっていました。
ベテラン声優の訃報も続いていますから、Writoneが次世代の育つ場所になればライターにとってもアクターにとってもWin-Win。これが期待せずにいられましょうか。
2月5日に開催された『福岡ビジネス・デジタル・コンテンツ賞2019』の公開審査会にて大賞に輝くなど、朗報も続いています。賞金は運営と社員の食費にあてるとのことで、おいしいものを食べて英気を養ってほしいものです。
迫る、RKBラジオでのボイスブック放送日。吉報を手土産にしての放送ということもあり、ワクワクが止まりません。ますます広がれWritone熱!。
小説家と声優でつくるボイスブック配信プラットフォームWritone(ライトーン)がユーザー2万人を突破!RKBラジオとのコラボコンテストの受賞作品も決定! |PR TIMES
番組名:『宮岡プラチナゲート〜RKBからの挑戦状!〜』
放送日時:2019年2月19日(火) 〜 22日(金) 21:30~21:46
流れるボイスブック作については、上記リンク先の記事にてご確認ください。ボイスブックへのリンクも掲載されているので、事前に聴くことも可能です。
最後に
ライターにとっては、
読まれず埋もれた〈小説〉を聴いてもらえる場。
アクターにとっては、
自身の〈声〉の可能性を伸ばし、自分を売り出せる場。
リスナーにとっては、
出会わずに終わったかもしれない〈小説〉と〈声〉に出会える場。
それぞれ利点は違うけれど、今後ますます楽しく面白く、Writoneの輪が広がっていけばいいなと――いえ、広がっていくことを願っています。
Writone(ライトーン) – ボイスブック配信プラットフォーム
運営会社:Lyact(リアクト)
Twitterアカウント:
ライトーン(Writone)@公式
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